富澤一誠の「俺が言う!」
音楽評論家 富澤一誠氏の 「俺が言う!」を掲載していきます。
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生き抜いていくということは時代の変化に対応して形を変えながらしのいでいくということです!
 西武有楽町店が閉店する、というニュースを聞いたとき、なぜか一抹の淋しさを禁じえませんでした。なぜかというと、一世を風びして時代の象徴となったものが朽ち果てていくのを見ることは、同時代を生きた者として深い感慨を覚えざるをえないからです。
 これは何も西武有楽町店にかぎったことではありません。自民党もそうですし、権威と品位がガタ落ちの大相撲、プロ野球なんかもそうです。かつては時代の象徴として、時代を牽引していた大きな存在がガラガラと音を立てながら崩壊しています。私たちは、それをただ見ているしかないのです。
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ヒルクライムはどこか懐かしい“文芸ラップ”!
 去年デビューした新人アーティストの中で、今一番売れているのが“ヒルクライム”です。1月13日にリリースされたばかりのファースト・アルバム『リサイタル』は初登場2位を記録し、注目の的です。
プロデューサーはアーティストにとって“高い壁”であるべきです!
 CDが売れないと嘆く前に、CDを買いたくなるような“いい歌”を作るべきです。そのためには、プロデューサーはアーティストにとって“高い壁”となって立ちはだかるべきです。
 アーティストがいい曲を作り、いい歌を創造するためには、まずはテンションを高めてギアをクリエイティブな状態に切り換えなければなりません。換言すれば、心のぜい肉を落としていつでも真剣勝負ができる準備をしなければならないというわけです。これはクリエイティブなことをするにあたって基本です。
「手紙〜親愛なる子供たちへ〜」は、老いた親が子に贈る“辞世”であり“遺言歌”です!
 親が子を殺めたり、子が親を傷つけたりして、まさに家族の崩壊が始まっています。だからこそ逆に、家族の絆が今こそ必要とされているのです。時代は紛れもなく“家族愛の歌”を必要としているのです。
 その証拠に、すぎもとまさとの「吾亦紅」がロングセラーになっています。この歌は亡き母に捧げる“鎮魂歌”と言っていいでしょう。「吾亦紅」はすぎもとが亡くなった自分の母親のことを歌った歌です。この歌を聴いて心のどこかがズキンと疼く人はたくさんいるに違いありません。特に長年連れそった妻と離婚して初めて自分を生きる、と吐露するフレーズには、口に出しては言えない男の本音が凝縮されていて、まさに“家族愛の歌”です。だからこそ、「吾亦紅」はリリース(2007年2月21日発売)されてから9ヶ月間かけて自力でヒット・チャートを上がってきたのです。歌は世につれ、世は歌につれ、と言うように、歌の持つ本当の力を時代が今必要としているのです。
今年のテーマは「慎独」、つまり「独(ひとり)を慎(つつし)む」ことです!
 今年もまた明治神宮に初詣に行って来ました。そして、これまた恒例となっている“おみくじ”を引きました。明治神宮の“おみくじ”は“大吉”や“凶”のおみくじではなく、明治天皇、昭憲皇太后の“和歌”になっています。
 「今年はどうかな?」とはやる心を抑えながら、おみくじ箱をガシャ、ガシャと振ると“2”という数字が出ました。そして、手渡された“おみくじ”は昭憲皇太后の御歌で“慎独”という御題で<人知れず思ふこころのよしあしも照し分くらむ天地のかみ>でした。その意味は「昔から『独(ひとり)を慎(つつし)む』という言葉があるように、他人が見ていようがいまいが、悪いことをしてはなりません。神々様は、すべて見通していらっしゃいます」で、要約すれば「明るい生活は秘密のないことから始まります」ということです。
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