身近な例で恐縮ですが、毎晩飲み会をしていますが、飲み会自体は悪いことではありません。なぜならば、仲間と飲むことは“仕事”でもあるからです。問題はその内容なんです。夏は暑いですから、まずは生ビールをついガブ飲みしてしまいます。でも、生ビールを暑いからといって飲みすぎるとお腹を冷やしてしまいます。そこで3杯飲みたいところを2杯で切り上げて、最近は焼酎のお湯割りに切り換えることに決めています。なぜかというと、ここでおいしいからと言って、焼酎のロックや冷酒をガバガバ飲みすぎてしまうと、お腹を冷やして壊してしまうことがわかっているからです。だから、まずは焼酎のお湯割りを飲んでお腹を暖めておこうとするわけです。ここまでは正しい飲み方というか、我ながら、なかなかいいセンスの飲み人という感じです。
私の最新刊に「音楽を熱く語るたびに夢が生まれた!」がありますが、その本のエピローグに私はあえて一編の詩「心の声」を載せておきました。自分の今の本音、書き手としてのこれからのテーマ、いうならライフワークともなるべき核心的なテーマですから、あえて詩としてまとめておいたのです。もちろん思惑はあります。この詩を誰かに曲をつけてもらってCD化しようという。正直に言って、CD化に関しては私の立場上それほど難しいことではありません。だからこそ、姑息な手段を使い易くなってしまうのです。
この詩を書き上げたとき、誰に曲をつけて歌ってもらうのか、明確なイメージが私にはありました。いや、この人しかいないというアーティストがいたのです。ちょうど本の帯の推薦文を書いてもらうアーティストは谷村新司さんしかいないように……。
ひとつは、時代がどう変わろうとも、「俺が(私が)……」と自分をあくまでも押し通し続けるタイプ。吉田拓郎、矢沢永吉、中島みゆき、谷村新司、さだまさし、松山千春などがそうです。
もうひとつは、時代がどんなに変わろうとも、時代との距離が常に等間隔で、時代という波を敏感に察知してとらえ、それを上手く乗りこなしてしまう“時代のサーファー”ともいうべきタイプ。サザンオールスターズ、松任谷由実、宇多田ヒカルなどがそうです。
両タイプ共に良さがあります。前者はアーティストとしての生きざまに一本芯が通っているので、座標軸がぶれることはありません。つまり、圧倒的な存在感があるということです。ですから、時代と共鳴したときにはすさまじい爆発力があります。“スター”というより“英雄(ヒーロー)”であり、やがて“教祖”となるのです。
後者は、時代の風を瞬時にして読み、そこから次に来る時代の波をキャッチできるので、時代に左右されることなく息の長い活動を続けることができます。その結果、超のつく“スーパースター”となりえるのです。
きっかけはどこにあるかわかりません。それがきっかけであるかさえわからないことの方が多いかもしれません。しかしながら、きっかけを与えられたら瞬時にそれを感じとり、勇気を持って一歩を踏み出してみることが重要なのです。
「なごり雪」「22才の別れ」というフォークの名曲があります。共に1975年に大ヒットした曲ですが、今やこの2曲はフォークの名曲という範ちゅうを超えて、日本のスタンダード・ナンバーです。この2曲共、作詞作曲は伊勢正三です。
いずれも、伊勢が“かぐや姫”時代に作ったもので、かぐや姫の4枚目のアルバム『三階建の詩』(74年3月12日発売)に収録されています。しかも驚かされるのは、彼が生まれて初めて作曲した曲が「なごり雪」で、2番目が「22才の別れ」である、という事実です。




