富澤一誠の「俺が言う!」
音楽評論家 富澤一誠氏の 「俺が言う!」を掲載していきます。
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人間も動物も余裕があると無駄なことをしてしまう。愛犬に教えられた“節約”の大切さ!
 空のペットボトルは“燃えないゴミ”として出すしかありません。その意味では“無駄な物”です。しかしながら、我が家では、この“無駄な物”ほど大切なものはないのです。なぜならば、我が家の愛犬“ジュニア”が最も気に入っているオモチャだからです。
 我が家も他の愛犬家に違わず、愛犬は目に入れても痛くないほど可愛がっていますから、オモチャはこれ以上ないほど買い与えています。ところが、犬もさるもので、買い与えた始めの頃は物珍しいのか喜んで遊んでいますが、すぐにあきてしまいます。という訳で、いつの間にか使われないオモチャの山ができてしまいます。ところが、そんな愛犬ですが、幼犬の頃から気に入っていて、7歳半になった今でも気に入り続けている唯一のオモチャがあります。それこそが“空のペットボトル”なのです。
 空のペットボトルは正式なオモチャではありませんが、うちの愛犬にかぎっては、この空のペットボトルこそが最高のオモチャなのです。始まりは定かではありませんが、いつの間にか空のペットボトルをくわえて遊ぶことを覚えてしまいました。リビングの隅に大きな紙袋を備えて、その中に空のペットボトルを入れておきます。すると愛犬は、紙袋の中から1本のペットボトルを選んでくわえてきます。それからドスンと横になって座って、両前足でペットボトルを器用におさえてから、ペットボトルのフタ、つまり、キャップを歯でくわえて上手に取ってしまいます。カリ、カリとかみしめながら名人芸のようにキャップをくるりと回して取ってしまうのです。この間、1分間はかからないといったところでしょうか。それから床に転がったキャップをながめています。始めのうちは、取ったキャップを食べてしまわないかと心配しましたが、ただながめているだけです。そのうちに、キャップを取って、それをながめているのはほめて欲しいということに気がついたので、「すごいね、ジュニアは……」と思い切りほめてあげると、尻尾を振って喜ぶようになりました。それ以降、空のペットボトルは愛犬のオモチャになりました。つまり、それまでは“無駄な物”でしかなかった空のペットボトルが、愛犬にとってはかけがいのない“オモチャ”に昇格したのです。
 キャップを取ってしまってからも愛犬の遊びは続きます。キャップが取れたペットボトルの首のところを今度はかみ始めます。ここはかなり固い所ですから、必死になってかみ続けます。やがて、その首をかみ切って落としてしまいます。およそ10分間くらいはかかるでしょうか。コロンと落ちて転がった首をまたながめています。「すごいね、ジュニアは……」とほめてあげると、さも満足したかのように立ち上がって、ノドがかわいたのか水を飲みに行くのです。これで空のペットボトル遊びは完結です。
 空のペットボトル遊びは愛犬が自分で考え出した遊びですが、紙袋の中にたくさんのペットボトルが入っていると、1本持ってきてはキャップだけ取って、2本3本と続け様です。キャップだけ取って首をかみ切るということはしません。しかし、紙袋の中のペットボトルが少なくなると、キャップを取って首をかみ切るまで頑張ります。たくさんあると無駄に使ってしまう愛犬を見て、我が身のことが反省されます。人間も動物も変に余裕があると無駄なことをしてしまうのです。無駄を省いて切り詰めること。“節約”が大切だ、ということを愛犬から教えられました。節約、英語でeconomy、はこれから私のキーワードです。
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