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「千の風になって」の強力な“歌力”に学ぶべきです。 

 CDが売れない時代だからこそ、「千の風になって」の成功例を改めて参考にして欲しいものです。
 「千の風になって」は芥川賞作家の新井満さんが2001年に私家盤として30枚だけプレスしたものでした。この曲にタイアップは付いていません。その意味では“歌力”で地力で浸透していったのです。ただきっかけはありました。03年、8月28日に新井満さんは朝日新聞の旧知の記者に会い、雑談がてらに「千の風になって」の話をしたそうです。このときの話がヒントになって「千の風になって」は<天声人語>の記事になりました。記事が出た日から電話がひっきりなしに鳴り始め、止まらなくなった、と新井さんは言います。「千の風になって」の正確な歌詞を知りたい。歌も聴きたい。とにかくCDがあったらわけて欲しい。そんな反響が新井さんに寄せられたのです。そしてポニーキャニオンからリリースの話があって、新井満さんの「千の風になって」のメジャー盤が03年11月6日にリリースされました。ふつうなら、これで完結ですが、ここからさらなる展開が始まったのです。“いい曲”であるという評価からカヴァー曲として取り上げるシンガーがいたのです。
 04年9月22日、盲目のテノール歌手・新垣勉がシングルとしてリリース。以降、数多くのシンガーが取り上げました。秋川雅史もそんなシンガーのひとりで、彼はアルバム『威風堂々』に収録しました。05年9月31日リリースのこのアルバムの中の1曲だった「千の風になって」の評判が予想以上に良かったので、8ヶ月後の06年5月24日に今度はシングルとしてリリースされました。そして、次の大きな“きっかけ”が06年大晦日の<NHK紅白歌合戦>で秋川が「千の風になって」を歌ったことでした。“名曲”がそれまでこの曲を知らなかったたくさんの人たちのハートに刺さった瞬間でした。<紅白>では秋川の歌唱前にSMAPの木村拓哉が詩を朗読したこともあり、年明け後の翌々週には4位を記録し、そして07年1月22日付けのオリコン・シングル・チャートで遂に1位を獲得。クラシック歌手としては史上初の快挙でした。後は歌力にターボがかかってドミノ倒しで、その後もセールスが伸び続け、リリースから1年3ケ月を経て、8月14日付シングル・チャートでミリオンセラーを突破しました。本当に“いい曲”なら“きっかけ”さえ与えればヒットするのです。そんないい曲の本家本元が新井満さんの私家盤「千の風になって」なのです。
 30枚だけ作られた私家盤CDがきっかけとなって6年後に100万枚を超える大ヒット曲が生まれました。これぞ“時代”が求めて生んだ“あらまほしきヒット曲”ではないでしょうか? ミュージック・シーンは今もタイアップ至上主義で、タイアップが付かないと売れないという定説が根づき、本当に“いい曲”であっても売り切れないという現実があるのです。だからこそ、そんなミュージック・シーンの定説に強力なアンチテーゼを投げかけたのが「千の風になって」だ、と私は思っています。今こそ、「千の風になって」のような強力な歌力のある歌を作るべきです。心に響く“大人のための音楽”Age Free Musicを時代は必要としているのです。
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category: 俺が言う!

2010/08/05 Thu. 10:18 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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