「頭がいい人、悪い人の話し方/樋口裕一」「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?/山田真哉」「国家の品格/藤原正彦」などのミリオンセラーを筆頭に、「美しい国へ/安倍晋三」「ウェブ進化論/梅田望夫」「下流社会/三浦展」「女性の品格/坂東眞理子」など続々とベストセラーが誕生しています。今や新書本はベストセラーの量産工場と言っていいでしょう。
新書本のマーケットが活性化されたのはここ3、4年のことですが、タイムリーな話題をテーマにして掘り下げて、読者に知的興味を持たせるには、ちょうど手頃なハンディタイプ本と言えます。私も毎月何冊か買っていますが、買おうと思わせるポイントは、知っておきたいテーマかどうか、です。知って得するお得感、知っておくとうんちくをたれることができる知的探究心など様々です。
私は書店に行ったときは新書本のコーナーに立ち寄り、毎月発売される新刊を必ずチェックするようにしていますが、いつも不思議に思うことは、音楽をテーマにした“音楽本”が少ないということです。あったとしても、クラシックかジャズの名曲解説本であり、いわゆるロック、ポップス、R&B、ヒップホップなどの“J-POP”をテーマにした音楽本は皆無に等しいということです。
「活字との親和性と言ったらいいんでしょうか。ジャズとかクラシックは、誰でも一言語りたくなるものがあるんです。そこが活字との相性の良さというか……。一方、ロックとかポップスというのは、語るというよりは聴いたり見たりして楽しむものではないでしょうか」
活字向きか否か、確かにそういうことはあるかもしれません。しかし、J-POPをテーマにしている書き手として悔しい思いが募ります。音楽を熱く語る、ことが私の仕事だからです。確かに莫大なマーケットはあるのです。切り口が見つかっていないだけのことなのです。その切り口をみつけたとき、J-POPの音楽本の地平が切り開けるのです。フォークは“生きざま”に根ざしたものですから、活字との相性はいいはずです。だとしたら、音楽を熱く語り、読ます“切り口”はきっとあるはずです。音楽を読ます、ことに真剣にチャレンジするつもりです。音楽はたくさんの人たちに熱く語られ、読まれたときに初めて“文化”になる、と確信しているからです。

