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“教科書の歌”が親子のコミュニケーションをとるのです! 

 『フォークが聴きたい』という私が書いた文庫本があります。ここには1966年にヒットした“和製フォークソング第1号”といわれるマイク真木の『バラが咲いた』から、1981年に大ヒットした中島みゆきの『悪女』まで、フォーク、ニューミュージックのヒット曲や名曲が210曲紹介してあります。
 以前、この文庫本を基に8時間のラジオ特番〈フォークが聴きたい〉を企画したときに、ゲストとして、Kiroroの2人に来てもらいました。そのとき、「森山良子の『この広い野原いっぱい』って知ってる?」と、私は彼女たちに尋ねました。彼女たちの答えは「知りません」でした。それはそうでしょう。なぜならば、この曲がヒットしたのは1966年のことで、彼女たちはまだ生まれていなかったからです。しかし、曲をかけたら、その途端「この曲、知ってます」ということになりました。この曲を彼女たちはなぜ知っていたんでしょうか?教科書に載っていたからです。
 Kiroroの2人が高校時代に使っていたと思われる音楽の教科書には、確かに森山良子の『この広い野原いっぱい』は載っています。他にも、赤い鳥の『翼をください』、加藤和彦と北山修の『あの素晴しい愛をもう一度』、海援隊の『贈る言葉』、長渕剛の『乾杯』などが収められています。音楽の教科書は基本的には4年ごとに改訂され、当然のことながら、教材として取り上げられる曲も少しずつ変更されます。
 両親がフォークやニューミュージック世代という人は多いと思います。彼らが青春時代に聴いていたヒット曲や名曲が、教科書によって息子や娘たちに知られたとき、初めてかつての名曲が息を吹き返します。両親にとっては青春時代に聴いていた“懐かしい歌”が、子供たちにとっては“新鮮な新しい歌”として受け止められるんです。その新しい“出会い”によって、ひとつの曲が親子のコミュニケーション手段となるのです。そんなことを考えると、歌がいかに大切かということがわかります。
 親は子どもたちがどんな曲を聴き、どんなアーティストに興味を持っているのか知ろうともしないし、理解しようともしません。一方、子どもたちのほうは、親が自分たちと同じ青春時代に何を聴いていたのか、知る由もありません。だからこそ親子の断絶が起きてしまうのでしょう。そんなときに、共通に知っているひとつの曲によって、コミュニケーションの糸口が生まれるとしたら、こんなに素晴らしいことはありません。だとしたら、親は子どもが今どんな曲を聴いているのか知るべきだし、子どもは親のレコード棚に興味を持つべきでしょう。そんな親子のきっかけを作るというか、橋渡しという重要な役割を果たしているのが音楽の教科書なんです。その意味では、教科書の選曲は非常に大切だと思います。
 音楽の教科書の教材に選ばれた曲が、人間を変えることもあります。その意味では、教科書の教材になるような名曲を作れるかどうかが、今のアーティストに課せられた使命でもあるのです。売れることもビジネスである以上必要ですが、後世に残るような“名曲”を作ることの方がもっと大切だ、と私は確信しています。
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category: 俺が言う!

2014/04/10 Thu. 11:03 [edit]   TB: -- | CM: --

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