04« 2017 / 05 »06
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

歌の究極のテーマは死! 

 歌のテーマは様々です。人間の喜怒哀楽、男と女の出会いと別れ、春夏秋冬などいろいろです。歌のテーマはつきることはありませんが、そんななかで、歌の究極のテーマは“死”といっていいでしょう。
 死をテーマにした歌はこれまでにもありました。グレープ『精霊流し』、チェッカーズ『星屑のステージ』、長渕剛『祈り』、沢田知可子『会いたい』、THE 虎舞竜『ロード』、スターダスト・レビュー『木蘭の涙』、GRAPEVINE『Our Song』、L’Arc~en~Ciel『花葬』、Dir en grey『残―ZAN』、Cocco『Raining』など。
 死をテーマにした歌には“実話”が多いようです。そんな代表作が、さだまさしが作詞・作曲したグレープの『精霊流し』です。この歌の背景には、実はこんな“実話”があったんです。
 さだには従兄弟がいました。彼は21歳のときに、長崎の海で恋人とボートに乗っていてオールを流されてしまい、それを拾おうとして服を着たまま海に飛び込んで波にのまれ、帰らぬ人となってしまいました。それからしばらくして、さだは彼のお母さん、つまり、さだの叔母さんが経営する長崎市のはずれにある“しいの実”というスナックで、テープに録音された彼の演奏を聴きました。そのテープは、彼が長崎でアマチュアのロック・バンドをやっていた頃、地元のラジオ局に出演したときのものでした。さだまさしは述懐しています。
「『精霊流し』には具体的なモデルがあったわけではないけど、亡くなった従兄弟の声をテープ・レコーダーから聴いたことがきっかけとなってできたのは事実です」
『精霊流し』は1974年4月に発売され、夏から秋にかけて大ヒットして、今では珠玉のラブ・ソングとしてスタンダードになっています。
 死と音楽は昔から密接な関係にあります。死者の霊を天国に導くために、残された者の心を癒すために……葬送曲、レクイエムです。そんなレクイエムは14世紀に基本的な形式が確立されましたが、18世紀になると管弦楽を伴う作品が多く書かれ始めました。日本でも太古より死は歌のテーマとして扱われてきました。万葉集のなかには、亡くなった人を追悼する“挽歌”が263首もあり、これは万葉集全体の5.8%にあたる、ということです。
 しかし、現在の死をテーマにした歌はレクイエムとは違います。万葉集の“死の歌”は親しい人の死の痛みをやわらげるためのものであったのに対して、現在の“死の歌”は、愛の死、つまり愛しい人との別れの場合がほとんどです。沢田知可子の『会いたい』、THE 虎舞竜の『ロード』はまさに、死をテーマにした“究極のラブ・ソング”です。
 このように、歌のテーマで扱われる“死”はたいがい愛する人や大切な人の死です。愛する人、大切な人の死というのはかけがえのない“愛”を失うことです。それは想像を絶するほど悲しく、苦しいことです。愛とか幸せは、あるときには気づかないものです。失って初めて、そのかけがえのなさに気づかされます。そして愛する人と過ごした幸せな日々を振り返って清算する。この苦難を乗り越えて初めて“死”を現実のものとして受け入れ、次のステップに進むことができるんです。
 愛する人の死によって、残された者の心のなかで起こるドラマティックな変化。このドラマティックさゆえに、死が歌の“究極のテーマ”となるんです。
 身近な人の死というのは誰もが1度は体験しなければなりません。人はそのことを本能的に知ってるのでしょう。そのことが人に、死に対する“畏怖の念を”抱かせるんです。だからこそ死をテーマにした歌を聴くときも、自分のこととして真剣に受け止めるんだと思います。死をテーマにした歌が若いアーティストによって今後どのように歌われていくのか?歌が文化であるためには必要なことである、と私は思います。
スポンサーサイト

category: 俺が言う!

2014/06/11 Wed. 10:34 [edit]   TB: -- | CM: --

go page top