富澤一誠の「俺が言う!」
音楽評論家 富澤一誠氏の 「俺が言う!」を掲載していきます。
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人間の品格とは、つまるところ、自分が確実に責任の取れることしか言わない、やらない、ということです!
「ま、いいか…」と勢いで言ってしまったり、やってしまう、ことは多多ありますが、決して誉められたことではありません。なぜならば、「ま、いいか……」で勢いづくと、そのときはいいのですが、後でしっぺ返しを必ず受けることになるからです。
 人は常に理性と感情のせめぎ合いの中で生きています。ふだんは理性が感情をコントロールしているので、「ま、いいか」ときて「えい、やー!」とはならないのですが、ときどき理性が感情をコントロールできなくて、「ま、いいか」とタガがはずれて「えい、やー!」とばかりにとんでもないことをしでかしてしまうのです。
 理性が感情をなぜコントロールできなくなってしまうのでしょうか? それは目の前のエサに負けてしまうからです。人は目の前の快楽には弱いものです。据え膳食わぬは男の恥、ではありませんが、女から仕掛けられた恋に尻込みするのは男として恥だ、とばかりに飛びついてしまうと、後で痛い目にあうことになります。そんなリスクを予感しながらも据え膳を食べてしまう男の弱さは、結局のところ、リスクに対してガードが甘いということです。
 最近、政治家だけではなくて、私たち全てが自分を取り巻くリスクに対してガードが甘すぎるようです。「ま、いいか」で「えい、やー!」と突き進んだとすれば、ほとんどの人が起こるべきリスクを予想できるはずです。その結果どうなるのか?を冷静に考えてみれば、結論は、君子危うきに近寄らず、になるはずです。ところが、現実は感情を理性がコントロールできなくて、それこそ「ま、いいか」「えい、やー!」とばかりに勢いにまかせて突き進んだ末に、大きなトラブルに巻き込まれてしまう、という訳です。
「ま、いいか」は男としてわかります。でも、そこでアクセルを踏むのではなく、ブレーキを踏む方が重要なのです。リスクを回避するためには、アクセルを踏みたいと思う“はやる心”を抑えて、冷静にブレーキを踏む勇気こそが男らしさの勲章なのです。はっきり言えば、大切だと思っている人に対しては、自分が確実に責任の取れることしか言わないし、しない、ということです。男らしくない、いくじなし、と言われるかもしれませんが、ここ一番のときにアクセルを踏み込む無謀さよりも、ブレーキをかけることのできる勇気の方が、男としての度量は上だ、と思います。
 責任のある立場に立てば立つほど慎重にならざるをえません。つまり、責任の取れないことは言えないし、できない、ということです。逆に、責任のない立場にいる人は、自由奔放に好き勝手なことを言い、やることができます。しかし、誰ひとりとして責任は取らないので、無茶苦茶なことになってしまいます。
 人間の品格とは、つまるところ、自分が確実に責任の取れることしか言わないし、やらない、ということなのです。「据え膳食わぬは男の恥」ではなくて「据え膳は吟味して食するのが男の甲斐性」なのです。
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