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江利チエミを訪ねて〈J-POPの源流〉を知る! 

 井手麻理子が江利チエミのカバーを出すと聞いたとき、「酒場にて」など江利の代表曲を集めた歌謡曲アルバムだと思いました。ところが、そうではなくて江利がこよなく愛したジャズ・ナンバーにチャレンジすると聞いてびっくりしたものです。
 江利チエミは、1952年にキングレコードから「テネシー・ワルツ」でデビュー以来、独特なリズム感とグルーブ感、ソウルフルでハートフルなボーカルを駆使して、ジャズからラテン、ポップス、果ては歌謡曲、演歌、民謡、抒情歌まで幅広いジャンルをレパートリーとしました。つまり、音楽的に幅が広いということですが、それだけではなく特にジャズ・シンガーとしては傑出した才能を持っていました。だからこそ、52年に発表した「テネシー・ワルツ」のカップリング「Come On A My House」では英語詞の中に日本語の訳詞を入れ込むという画期的な手法で、それまでは単なる洋楽でしかなかった歌を、より身近に感じられるようにして、洋楽生まれの邦楽ともいうべき新しい日本のポップスを作り上げたのです。その意味では、江利チエミこそ〈J-POP〉のパイオニアであり原点なのです。
 江利チエミ、生誕75周年、没後30周年、レコード・デビュー60周年を記念して2013年に発売されたCDボックス「江利チエミ メモリーズ・ボックス邦楽編」「同洋楽編」(各5枚組)、同時発売の新作編集アルバム「チエミ・プラス・ジャズ」を聴くと、彼女がいかに“すごい歌手”であることがわかります。このCDボックスを聴くまで、私は江利がこんなにすごい歌手だった、とはそれまで知りませんでした。
 そんな江利を昔から好きだったという井手麻理子は「ポップス・シンガーとして、ボーカリストとして、楽曲の意志をちゃんと“歌い伝えて”いける歌手でありたい」と語っています。彼女の言葉通りに、カバー楽曲への解釈を明確に意志表示しているようです。解釈や主張、そして意志が明確に見えてこそ、歌手のあるべき姿であるから、このアルバムはその意味で、歌手のお手本のような内容です。井手の江利に対する愛情、情熱によって、このアルバムでは江利の気持ちをしっかりと受け継いでいるので、江利がかつてそうであったように、井手も単なるカバーではないオリジナルな領域にまで歌を昇華することに成功しているのです。温故知新ではありませんが、江利チエミを訪ねて〈J-POPの源流〉を知る、です。まずは井手麻理子のアルバムを聴き、続いて江利チエミを聴いてみてはいかがでしょうか…。
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category: 俺が言う!

2015/05/18 Mon. 14:59 [edit]   TB: -- | CM: --

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