才能がない場合は、ひたすら努力してもらわなければなりません。問題は、才能はあるのだが、その才能が埋もれてしまっているケースです。こちらの方が、正直に言って問題です。
才能はあるのに結果をなかなか出せない人ってたくさんいます。よくケイコ場の横綱とか練習試合の金メダリストなどというたとえが使われますが、これらは要は“本番”に弱い、ということを言っているのです。素質があってケイコ場で強いのになかなかいい結果が出せないという相撲取りはたくさんいます。その典型が大関の魁皇でしょう。魁皇は素質からいえばとっくに横綱になっていてもおかしくはない力士です。しかし、現実は大関止まりです。魁皇は右上手を取ったらおそらく一番強いでしょう。しかしながら、相手力士もプロなので、なかなか得意の右上手を取らせてはくれません。ということで、得意の右上手を封じ込められてしまうことで、結局のところ自分の本来の“実力”を出せないのです。そのために結果が出ない、ということです。いくら才能があったとしても、それが出せないということは、才能が生かされていないということです。
英会話のことを考えてみて下さい。英会話の場合、しゃべり方を覚えるのはそれほど難しくはありません。というのは、英会話の本を徹底的に暗記すればそれですむからです。だが丸暗記をしたからといって、実践で使えるかというとそう簡単なことではありません。なぜなら、こちらがしゃべることは暗記したことを言えばいいのですが、それに対して相手がネイティブな英語で答えてきたときに聞き取れないという現実が起こるからです。ヒアリングは本では学べません。これはとにかく実践を通してヒアリングし続けなければなりません。それとここが大切なのですが、現実の会話では、本で覚えた通りには相手はしゃべってはくれないということです。だから、何を言っているのか勘を働かせて推測するということが重要なことになってきます。全部聞き取ろうと思っても100パーセント聞き取ることなんてできません。まさに一を知って十を知るではありませんが、そんな臨機応変さが大切なのです。この臨機応変さは実践で学ぶしかありません。つまり、頭の中に詰め込んだ知識はそれだけでは駄目だということです。頭の中の知識の山を有効に活用するには、それを臨機応変に使いこなせる実戦経験が必要不可欠なのです。才能があるのに結果が出せない人は、実践にもう一歩踏み出す勇気を持つことではないでしょうか。才能とは生かしてこその本当の才能なのです。

