富澤一誠の「俺が言う!」
音楽評論家 富澤一誠氏の 「俺が言う!」を掲載していきます。
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人生の“ズレ”を修正するということは、おいてきてしまった“あの頃の夢”をかなえることです!
 現在の私と、青春時代の“あのときのぼく”がなりたいと思っていた私、との間には微妙な“ズレ”があります。このズレを感じている以上、私は人生の“帰還限界点”に到達する前に、ズレを修正しなければならないのです。今まさに私は“57歳の決心!”をしたのです。「自分らしく生きよう」と。その意味では、私にとってこれからのテーマは「自分らしく生きる」ということです。これはおそらく私だけではないはずです。同世代の人たちは共通に思っているはずです。「自分らしく生きているか?」と。そして人生の“メイン・ステージ”で「自分らしく生きよう」と。そんな“テーマ”を自分なりに表現したのが「音楽を熱く語るたびに夢が生まれた!〜聴いた。見た。感動した。Jポップ四〇年史〜」(シンコーミュージック・エンタテイメント刊)という単行本です。
 そして今、私は“人生のズレ”を修復する、というテーマが私だけではなく、同世代の統一のテーマになりつつあると確信しています。というのは、5月15日(木)に銀座博品館劇場で<ブレッド&バターpresents―DRAMA & LIVE―「あの頃のまま」>という未来型ミュージカルを見たからです。このミュージカルは呉田軽穂こと松任谷由実が1979年にブレッド&バターに提供した「あの頃のまま」をモチーフにしています。
 内容は40年程前に、湘南で人気を誇っていた〈カフェ ブレッド&バター〉に憧れていたミュージシャン志望の男2人と、彼らの音楽の虜になっていたひとりの女性の3人で、〈カフェ ブレッド&バター〉のようなカフェをオープンさせようとする“青春夢物語”です。男2人のグループは“セシリア”という名前で、サイモン&ガーファンクル、ブレッド&バターをリスペクトしていて、いつしかプロへと夢を見ていました。一方、女性の方はセシリアの音楽をたくさんの人たちに知ってもらいたい、と彼らのライブが聴けるカフェに夢をかけます。セシリア役を平川地一丁目、女性役を藤澤志帆が演じています。
 オープン間近に3人は仲違いをしてしまいます。セシリアの浅霧コウタ(林龍之介)、鈴木タダミチ(林直次郎)はちょっとした誤解から仲違い。2人が好意を寄せている安永マリエ(藤澤志帆)はそれを気にかけながら、荒れる海に引きずり込まれて行方不明になってしまう。こうして彼らの夢は消えてしまったのです。
 それから40年程経ち、CM制作会社の社長になっている浅霧コウタ(寺泉憲)の前に鈴木タダミチ(井上純一)が現れます。そして40年前にはかなえることができなかったカフェをオープンしようと誘います。そこに40年前のままのマリエが現れ、3人は再びカフェに夢をかけます。その結果、カフェは見事にオープン日を迎えます。しかし、当日、コウタの前にタダミチとマリエは現れません。実は半年前にタダミチは亡くなっていたのです。そのときコウタは全てを理解するのです。「あの頃のまま」の自分を取り戻させるために、タダミチとマリエは自分の前に現れたのだ、と。「夢はあきらめたのではない。夢をかなえなかっただけさ」というセリフが身にしみました。そうです。かなえないでおいてきた“あの頃の夢”をかなえるのが、今の自分を生きるということではないでしょうか……。人生の“ズレ”を修正することは、おいてきてしまった“あの頃の夢”をかなえることなのです。
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